令和2年(ネ)第3049号 「境川金森調節池建設差止請求控訴事件」控訴審第7回

公判が、2022年3月1日(火)11時40分より東京高裁第809号法廷で開催されました。

 

出席者は、原告側(反対派)10名、被告側(東京都)5名、その他2名でした。

(コロナウィルス感染予防の為、傍聴人の人数制限あり。)

 

裁判資料

 

【最終意陳述PDF】 ⇒ 資料1

【原告団代表意見陳述書】 ⇒ 資料2

【弁護士 海渡双葉先生意見陳述書】⇒ 資料3

主任弁護士 海渡先生意見陳述書 資料4

【原告二名 意見陳述書】⇒ 資料5

 

 

第7回公判報告

 

 

  • 前回公判時に反対派より要請いたしました「最終意見陳述」の機会が裁判所により、15分間認められました。

 

 

パワーポイントに原告主張の要点をまとめ弁護士 只野先生は、「この工事が不要不急の工事である」こと。(資料1)

 

パワーポイントに沿って原告代表 高橋氏は、工事により「住民がいかに被害を被っているか又、工事の継続によって今後どのような被害が発生するか」を証言。(資料2)

 

弁護士 海渡 双葉先生は、福井教授と岡田教授の鑑定意見をもとに「都市計画法に違反した工事である」こと。(資料3)

 

最後に主任弁護士 海渡先生から一審判決が見落としている点を指摘して「その欠落している部分に司法の目を向けていただきたい」と要請。(資料4)

 

 

以上を持ちまして控訴審審議を終了致しました。

 

裁判長より判決を下す旨の通告があり閉廷いたしました。

 

 

最終意陳述  資料1より概要

 

 

 

本件の境川は、上流は神奈川県の城山湖を源流として、最下流は藤沢市江の島で、全長約52kmの小さな川です。

この小さな川について、東京都が中流域の約10キロを管理しており、それ以外を神奈川県が管理しています。

このように河川管理者が分かれていることが、本件の根源的な問題です。

 

境川は二級河川で、東京都と神奈川県が管理区間を分担しています。

上流部は神奈川県の管理で、中流部の約10キロが東京都の管理で、下流部は再び神奈川県の管理となります。

図の肌色は、集水境界を示しておりまして、境川には、地形上、この範囲に振った雨しか流れてきません。

東京都の管理部分は、中流部といっても、幅は2~3キロしかなく、川幅は数mしかない、本当に小さな川です。

 

 

 

 

金森調節池というのは、東京都が事業を行っているもので、境川の中流部に、西田スポーツ広場というグラウンドがあるのですが、その地下に、貯留量約15万トンの調節池を設ける計画で、上流部から流れてきた水の一部を一時的にためて、下流に流れる水を減らすためのもので、治水施設です。 

弁護士 只野先生

 

 

 

 

原告、控訴人の高橋です。

環境を標榜して都公社を通して売り出した。

本件西田スポーツ広場は、もともと、このように利用されていた。

地域の核となる公園だった。

このグラウンドが約10年間、使用不能。

 

 

 

 

5分に1回、大型ダンプが通る

鶴間では、2016年に、小学生の死亡ひき逃げ事故が発生している。

現実の危険。

・大量の工事車両の通行による交通事故の危険

・騒音、粉塵、地盤沈下、井戸水枯れ

東京都は、工事に伴う危険は、受任限度内と主張

軽減措置もとっていると主張。

  • 「代替え地を提供するする」といいながら事実は何もしないでグランドを廃止してしまい地域のコミュニティーを崩壊させてしまう。
  • 保育園の運動場所を奪った上に代替え地を用意せず運用でつじつま合わせを行う。

③「農家の井戸水が枯れたら補償する。」と強弁しながら、農家への説明はタンクローリーで水道水を運んでくるだけ。

④我々の生活道或いは通学路として町田市へ寄贈した道路を、住民の意向を無視して第一種低層住宅専用区域内をダンプカーやミキサー車といった工事用大型車両が入れるように改悪し、振動や騒音、排気ガスによって我々住民の安穏な生活を送る権利を奪ってしまいました。

 

 

 

 

 

地域全体が数時間停電した大事故。

幸いなことに、住宅側に倒れずに済んだ。

土地・家屋を売却して避難しようにも低価格でしか売れないためにここに住み続けることを余儀なくされてしまいました。

我々住民からすると「やりたい放題」であると言って過言ではありません。

「そこのけ、そこのけ東京都が通る」式の態度です。

工事に対する住民の疑念を払拭するどころか、自説を述べるだけの説明会を開いて「パブリックコメントを取った」と強弁し、それで事足れりと工事を始めてしまう。

「都が計画して決めた工事」であるとの思い込みが、逆に住民にとっては犠牲感を強めてしまうのであり、問題を解決しないまま先を急ごうとする姿勢が受け入れがたかった理由です。

水害の危険よりも、工事の危険の方がはるかに高い。

「30年たって下流の神奈川県の拡幅工事が終わっておれば、この調節池は埋め戻します。」とか、「いくらこの工事に反対をしても都は強制執行をします。」とか、

「工事を止めたければ供託金を積んでください。金額は3%の6億円です。」といった嘘とも脅しともいうべき東京都職員による許しがたい暴言に対して我々は裁判所に救済を求めました。

現時点での工事進捗状況は、まだ穴を掘って土砂を搬出している段階です。

穴を掘り終えた後基盤固めを行い、鉄骨やぐらを組み立て、木枠で囲って、一日80台のミキサー車を投入してコンクリートを流し込み、上面を蓋で覆い、更に管理棟を設置する。

お金がかかる工事はこれからです。やめるのは今です。よって、我々は本件工事の差し止めを願ってやみません。                

以上 原告団代表 高橋 氏

 

 

 

 

 

高裁での審理を終えるにあたって、一言高裁判事の諸氏にご意見を申し上げる。

金森調節池は、調節池から上流に向けた河床掘削を行うこととセットの計画であり、調節池の容量が満水となった以降は、河床掘削を行った区域の下流側においては、従前よりも水害の危険性が増加する。

境川の場合、下流を含めて時間雨量50ミリに対応する河道整備こそ必要かつ緊急な事業である。

そして、その効果を達成するためには、流域対策という安価で地域住民に何の危険性も与えない代替手段がある。

金森調節池は、本来、境川の洪水被害から、地域の住民の生命・身体・財産の安全を守るための工事のはずである。

にもかかわらず、ほとんどすべての地域住民が反対しているのはなぜなのか。

本件金森調節池建設による治水安全性の向上よりも、建設工事に伴う交通事故の危険性、騒音・粉塵、保育園経営や農業への悪影響、西田スポーツ広場を使えなくなる不利益などの方が、はるかに大きいと、多くの住民が確信しているからである。

 境川の洪水によって命を落とすよりも、建設工事の工事車両による交通事故によって命を落とす可能性の方がはるかに高い。

このことは動かしがたい事実なのである。

にもかかわらず、司法はこの益なくして害のみを住民に強いるこの計画を耐え忍べというのか。

この地域に暮らす子どもたちのいのちが工事車両との衝突によって喪(うしな)われてからでは遅いのだ。

裁判所は、控訴人らの司法に託した切なる願いを聞き届けてほしい

弁護士 海渡 先生

 

 

傍聴して

 

弁護団からは、調節池工事の今迄の経緯と法律面から工事の違法性についての陳述があり、説得力がありました。

 

原告団代表は、これまで調節池工事により地域住民の受けた被害と、もっとも危惧される子供から高齢者の交通事故、生活権の侵害についての悔しい思いを述べてくれた。

 

今回の陳述により地域住民の暮らしに、いかに深刻な悪影響を及ぼしているか、改めて明らかにされたと思います。

 

「いくら工事に反対しても、東京都は強制執行します。」第三回 建設工事説明会で都職員が地域住民に放った、話し合いを拒否した言葉や下流の整備が終わったら?の質問に対して「30年後、下流の神奈川県の整備が終わって必要が無くなったら埋め戻します。」と、言った無責任な発言が未だに忘れない。これからも忘れない。

 

行政手続きを欠いた違法な状態で始めた建設工事を、東京都は「民事訴訟だから関係ない」と言った。不誠実な対応に憤りを隠せない。

司法の力で違法な工事を止めて下さい!!

 

 

 

次回 公判のお知らせ 判決

 

控訴審 判決 第8回公判 

日時 令和 4 年  5月  26 日(木)16時00分から

場所 霞が関東京高等裁判所809号法廷

法廷へは、10分前までにお願い致します。

 

 

 

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