年(ワ)平成30年第17960号「境川金森調節池建設差止請求事件」が、2020年7月27日(月)に第13回公判が行われました。
新型コロナウイルスの影響で、裁判所より出席者の人数制限がありました。
第13回は、原告側(反対派)13名、被告側(東京都)7名でした。
(人数制限により、原告側3名入廷できず)
被告ら代理人弁護士3名は全員欠席。
判 決
2020年7月27日(月)13時10分より 415号法廷にて
東京地裁判決公判において以下のとおり判決が下されました。
- 原告らの請求をいずれも棄却する。
- 訴訟費用は原告らの負担とする。
判決文には、「被告は住民要求に沿って被害の軽減策を講じており、原告の被害が一般社会生活上受忍すべき限度をこえたてものではない。」と述べております。
「上流を掘削すると下流が危険である」、「原告らが被る不利益の内容とその程度を見過ごすことはできない」と私たちの主張は、端々で認定されているが、原告らが一般社会生活上受忍すべき限度を超えて違法であるとは、認められませんでした。
裁判資料
【判決文】 (全39ページ) ⇒ 資料1
【原告最終準備書面】 (全46ページ) ⇒ 資料2
【被告最終準備書面】 (全3ページ) ⇒ 資料3
最終準備書面でこの3年間の私たちの主張が全て書かれています。
・境川は、時間雨量50mmに対応する河道整備こそ必要であり、緊急かつ重要な事業である。
その効果を達成するために金森調節池事業以外に他の方法の選択はないか、代替案がないか全く検討されていない。
流域対策を行えば、金森調節池建設と同じ効果を、より早期に安価で行うことができる。
・本当にこの場所(西田スポーツ広場)に必要なのか、という検討がされていなかった。
・平穏な住宅街の中を工事車両が通行することとなっており、登下校をする小中学生などを含む周辺住民が交通事故に遭う可能性は極めて高い。
しかも一般車両と異なり、工事車両は大型であり交通事故が生じたときには、被害者が死亡する可能性が高いので、このような重大な被害の発生を未然に食い止めるには、本件工事を差し止めるほかない。
等、原告側の正当な権利を求めています。
工事によって周辺住民が被る権利侵害、損害、不利益は裁判所に認められませんでしたが、今後、権利侵害、損害、不利益があれば最終準備書面を役立てて参ります。
また、2020年7月27日 時事通信より記事が掲載されていましたので、お知らせ致します。
(以下掲載内容)
東京都と神奈川県の間を流れる境川の調整池(東京都町田市)建設工事で、住環境が悪化するなどとして、現場周辺の住民57人が実施主体の都を相手取り、工事の差し止めを求めた訴訟の判決が27日、東京地裁であった。
佐藤哲治裁判長は工事について「(悪化は)受忍すべき限度を超えて違法とは認められない」と述べ、請求を棄却した。
判決によると、都と町田市は2015年3月、境川の洪水対策の一環として、約15万トンを貯留できる調節池の施設整備に関する基本協定を締結。
工期は約8年、総事業費は18年9月時点で227億円程度と見込まれた。
佐藤裁判長は「トラックなど工事車両の交通量が増え、事故の危険性が高まることは避けられない」と指摘。
「原告らが不安感や恐怖心を抱くことは当然で、周辺住民が被る迷惑や不便を軽く見ることはできない」と述べる一方、不利益の程度は、有害施設が建設される場合に比べ重くないと判断した。
原告側は、調整池の上流部で河床を掘削して流量が増えれば、かえって水害の危険性が増すとも主張したが、佐藤裁判長は「調整池の設置で直ちに生じる性質のものではない」と退けた。
(記事掲載:https://trafficnews.jp/post/98486)
傍聴して
・被告(東京都)代理人が定時になっても3名全員現れず、定刻6分過ぎに開廷し終わりまで結局姿を見せることはありませんでした。
こんなことってあるのでしょうか・・・?
最後の最後に不誠実極まりない行政の態度が露呈し、切実に訴えてきた原告らを侮辱する行為としか思えません。
・東京都の最終準備書面は3枚で、原告準備書面は46ページであり、準備書面の内容を見る限り、私たちが敗訴になる原因がわからない!
なぜ敗訴なのか未だに信じられません。
・東京都の住民への説明内容と裁判中の証言者の内容が違っていた。
・東京都の説明会では、調節池整備も上流掘削も一つの計画として説明された。
住民の被害は軽視できないし、上流掘削が行われれば危険であるということは認められた。
しかし、調節池を整備することに公共性及び公益上の必要性が認められてしまったので残念だ。
・公共事業に勝つということはとても難しいことだと感じた。
記者会見の様子
大手新聞社などから、約5名の記者の方がいらっしゃいました。
記者会見は、原告弁護士が作成した資料に沿って行いました。
資料はこちら (PDF)
原告団代表の一言
いったん走りだすと止まらない。
行きつくところまで行かないと方向転換が出来ない。
悪しき日本行政の体質を裁判所の力によって差し止めしていただくように考えて告訴しましたが、今のところ目的達成に至りませんでした。
しかし、主要な論点は認められていますので、持ち帰って仲間と相談して今後の事を決めたいと思います。
新型コロナウィルスのニュースが連日報告されています。
こまめな手洗いや水分補給、そして体調をいつも以上に観察してお過ごしください。
今まで応援していただき、ありがとうございました。
今後の対応と対策につきましては、こちらのホームページでお知らせ致します。
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