調節池建設予定地とされてしまっている、西田スポーツ広場。

工事が行われると、約10年もの間、地域住民は広場の使用ができなくなります。

広場の使用ができなくなることによる弊害は大変深刻なものになると予想され、住民たちはこの広場自体の存続も強く求めています。

 

ここでは、西田スポーツ広場とはどのような施設で、どのように利用されているのか、また、利用できなくなることによる弊害とはどのようなことが予想されるのか、お話していきます。

 

西田スポーツ広場の基本情報

スポーツ広場とは、1か所につき1,000㎡以上の面積を有し、市がスポーツ利用に適していると認めた土地(市有地・民有地)のこと。

 

2017年8月1日時点で、市内に25箇所あり、そのうち、市が所有する5000㎡以上の大規模なスポーツ広場は7箇所。

西田スポーツ広場はこの7箇所のうちの1つ。

 

所在地:東京都町田市金森6丁目38
敷地面積:約1万7000㎡

 

  

 

野球やサッカーができる広いグランドが2面あり、ナイター設備もある。

サイクリングロード沿いにはトイレも完備されている。

(サイクリングを楽しむ人たちや近隣の公園を利用している人たちなど、誰でも利用できる)

 

どのように利用されているのか

西田スポーツ広場は、地域の催し会場やスポーツを楽しむ場として、また、近隣保育園の園庭として等、様々な分野において広く市民に活用されており、地域住民の生活に無くてはならない憩いの広場です。

 

利用数は、記録上表れているだけで年間3万人以上で、ほぼ毎日、利用されています。

 

また、西田スポーツ広場管理運営委員会が作られており、西田町内会やスポーツ団体などから役員を選出し、町田市長に届け出をして管理・運営をしています。

 

他にも、町田市の地域防災計画において、応急仮設住宅建設用地に指定されていたり、炊き出し訓練を兼ねた盆踊り大会や避難訓練などが行われ、地域の重要な防災拠点となっています。

 

 

(盆踊りでの炊き出しの様子)

 

この炊き出し訓練を兼ねた盆踊り大会というのが非常に重要で、的屋を呼ばず、全て町内会の人間で自治運営しています。

 

約1000人規模のイベントなので、スタッフも100名以上となりますが、町内会の住民が毎年入れかわりで担当しています。

これにより、災害が起きた時に、最も重要となる「地域のつながり」がしっかりと形成されていくのです。

すなわち、防災対策においても必要不可欠なイベントが、ここ、西田スポーツ広場で行われているということです。

 

これは、水害に悩まされることの多かったこの地域に古くから住む人々が、絶やさずに紡いできた知恵であり、心をつないできた結果成り立っているものです。

しかしながら、積み上げたものでも、努力して繋いでいかなくては消え去ってしまうのは一瞬です。

 

 

工事期間中(約10年)、実施しないとどうなるでしょうか?

 

 

利用できなくなることによる弊害

 

もし、工事が始まってしまったら、約10年もの長期に渡り、上記の利用が全てできなくなります。

 

西田スポーツ広場のように大規模なスポーツ広場は近隣には存在しないため、代替施設の確保は困難です。

そのため、これまで利用していた人々は行き場をなくし、子どもから高齢者まで様々なスポーツ文化が失われます。

子どもたちの健全な成長は阻害され、周辺住民の健康も損なわれてしまいます。

そして、周辺住民たちは、コミュニティの核を失い、地域のつながりは薄れ、防災へ備えることもできなくなり、地域社会は崩壊してしまうでしょう。

 

 

 

現に、西田スポーツ広場の850メートル上流にある鶴金橋上流遊水地(上記写真)では、工期は5年でしたが、その間に、大切なコミュニティの場を失ったことで、地域活動(盆踊り、地域運動会や避難訓練など)が消滅しました。

 

施設完成から7年たった今も、地域活動は消滅したままです。

 

 

西田スポーツ広場の存続を!

前述のとおり、西田スポーツ広場はこの地域のコミュニティの核です。

地域住民のつながりがあってこそ、防災、境川の水害対策、防犯、地域ぐるみでの子育て、高齢者対策、など、様々な課題に対し連携した対策が可能となっていきます。

 

境川全体にとって、東京都建設局(担当局)ができる範囲でできること、と、地域の目に見えないつながりや知恵、これを天秤にかけることは本当に必要なのでしょうか?

 

地域を超えて、管轄を超えて流域全体でできること、は本当にこれだけなのでしょうか?

 

ネイティブアメリカンは七代先の子孫のことまで考えて今の自分たちがするべきことを決める、といいます。

 

私達の未来の子どもたちにとって、本当に必要不可欠なものは何か、残すべきものは何か、今一度、冷静に考えてみて頂けたら幸いです。